ピッキングされにくい鍵にすれば空き巣は防げるか?

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せっかく防犯対策を施すなら、せめて防犯性能の高いものをチョイスしたいですよね?防犯について調べていると良く見かける「ピッキングされにくい鍵」。ピッキングされにくい鍵にすれば空き巣は防げるのでしょうか?

残念ながら、警察庁の統計を見る限りでは「ピッキングされにくい鍵」だけで空き巣を防ぐ事は難しいのが実情です。

意外と多い○○犯罪!

安全だった日本国内ですが、「水と安全はタダ」の時代が終わったと言われるようになって久しいですね。ところで、10分に1回起きている犯罪がある事を知っていますか?振り込め詐欺?強制わいせつ?ひったくり?

 

警視庁「平成26,27年の犯罪情勢」

実は10分に1回発生しているのは住宅への侵入窃盗なのです(平成27年の認知件数5万995件)。ちなみに振り込め詐欺は年間1万738件、強制わいせつは6,755件、ひったくりは4,142件です。下のグラフを見ても、住宅への侵入窃盗が圧倒的に多いのが分かります。

ちなみにグラフの正解は
A…侵入窃盗、5万995件
B…振り込め詐欺、1万738件
C…強制わいせつ、6,755件
D…ひったくり、4,142件

 

侵入窃盗の内訳

「侵入窃盗」と言われてもピンと来ない人も多いと思います。侵入窃盗は手口によって分類されるのですが、特に空き巣、忍込み、居空きが知られています。それぞれの特徴を確認してみましょう。

空き巣…家人等が不在の住宅の屋内に侵入し、金品を盗むこと
忍込み…夜間家人等の就寝時に住宅の屋内に侵入し、金品を盗むこと
居空き…家人等が在宅し、昼寝、食事等をしているすきに住宅の屋内に侵入し、金品を盗むこと

注目したいのは忍込みと居空きです。どちらも家の中に人がいる時に住宅の中へ侵入する事です。家の中で泥棒と鉢合わせたら…と考えただけで恐いですね。

 

空き巣はどのようにして家に入り込むのか?

空き巣はどのように家に入ってくるのでしょうか?警察庁の調査によれば、侵入方法は主にガラス破り、無締まり、特殊開錠用具関係、合かぎに分類されています。

ガラス破り…ガラスを割って侵入
無締まり…鍵のかかっていない所(無施錠の所)からの侵入
特殊開錠用具関係…ピッキング用具やドライバー、バール等を使ってシリンダー錠をこじ開けて侵入
合かぎ…合かぎを使っての侵入

 

減少している侵入方法

警視庁「平成26,27年の犯罪情勢」

分類の中でも、特殊開錠用具関係は最も減少率が高い事が分かります。これは平成15年に「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」が制定されたことが大きな要因だと考えられます。

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(通称ピッキング防止法)は、ピッキング用具やドライバー、バール等を正当な理由なく携帯してはならないという法律です。

なおピッキングとは鍵を使わずに、また破壊せずに、ヘアピンや針金等を用いて錠前を開錠する事です。防犯コーナー等で「ピッキングに強い鍵」という文言を見たことはありませんか?ピッキングに強い鍵は、この方法で開錠されにくい鍵の事です。平成12年前後にピッキングによる侵入窃盗事件が多発し、社会問題化しました。

しかしピッキング防止法から激減し、今では1%にも満たない発生率となっています。

 

警視庁「平成26,27年の犯罪情勢」

ガラス破りも減少傾向にあります。これは一般の家庭にも機械警備が普及してきている為と推測されます。機械警備は窓や玄関にセンサーを張り巡らせます。窓が割られる等して不正に侵入されると、警報音が鳴り、数分後に機械警備会社の職員が駆け付けてくれるサービスです。

 

増加している侵入方法

警視庁「平成26,27年の犯罪情勢」

一方、微増している侵入手段があります。合鍵での侵入は、平成16年の3.5%から平成27年は4.6%へと上昇しています。管理会社を装って入居者の鍵番号を入手し、インターネット経由で合鍵を注文。合鍵を使って不法侵入した事件も発生しています。合鍵は意外と複製されやすいので注意が必要です。

 

警視庁「平成26,27年の犯罪情勢」

無締まり(無施錠)から侵入する空き巣は平成16年の24.1%から平成27年には35.2%に上昇しています。泥棒にしてみれば、時間をかけて鍵をこじ開けるより、セールスマンや作業員のような格好でドアノブを触ってみて、鍵を掛けてない家にサッと入る方が侵入しやすいのです。

 

結論

自宅の防犯を強化したい時は、ピッキングされにくい鍵にするだけでなく、鍵を必ず掛ける事を習慣化する事が大切です。しかし人間は忘れる生き物です。施錠を習慣化しても、ついうっかり忘れる事は誰にでも必ず起こり得るのです。

警察庁は1つのドアに2つの錠を取付ける事=ワンドアツーロックを推奨しています。しかし人為的に仕掛ける鍵を幾つも付けても、鍵を掛け忘れてしまっては意味がありません。そこで2ロック目の鍵を自動的に施錠するものに取り換える事で、鍵のうっかりかけ忘れを防ぐ事が可能となります。

大手ドアメーカーからは扉をオートロック化する商品もありますが、もっと簡単な取付けで扉がオートロックになる補助錠も存在します。

自分の身は自分で守る意識を持つ事が必要です。便利で安心できる商品を知り、取り入れるのも防犯を考える上では大切ではないでしょうか。

 

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